【夫婦600万完済】奨学金は借りない方がいい|3つの資本で大学4年を採点した

奨学金返済

奨学金を借りている人に告ぐ。目指すのは年収300万以上の正社員だ。それを下回ると、奨学金を延滞する人の側に入っていく。

大学4年間はめちゃくちゃ楽しい。人生の夏休みとはよく言ったもので、俺もサークルとバイトと遊びに金と時間を溶かした。

ただ、奨学金を借りているなら話は別。今借りている人も、これから借りて大学に行こうとしている人も、本当に借金してまで行く必要があるのか、この記事で一度立ち止まってほしい。

ちなみに、俺は行って良かった。高校生に戻っても同じ大学を目指す。ただ、金の使い方はずいぶん変える。

あ、奨学金借りずに大学に行く人はこの記事は特に関係ない。親に感謝しつつ大学生活を楽しんで。

奨学金を借りる前に知ってほしい

年収300万は、月の手取りにすると約20万。ここを下回ると返済が苦しくなる。まずこれだけ覚えて帰ってほしい。

俺は何も考えず借りた

かくいう俺も何も考えずに借りた。実際、何も考えずに借りる人の方が多い。

なぜ借金してまで大学に行くのか。「大学に行った方が年収が上がるから」だ。人生の夏休みを過ごしに行くわけじゃない。

大卒と高卒の生涯賃金の差は、男性で約5,000万円(労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2024」)。奨学金を返す苦労があっても、生涯で5,000万多くもらえるなら、借りてでも行く価値はある ── 俺もそう思っていた。この5,000万の正体は、後半でもう一度掘る。

240万返してやっと分かった

俺の借入は月5万×4年で240万。妻も第一種と第二種を併用して借りていて、夫婦で約600万の借金を背負って結婚生活が始まった。それを5年で返し切った。

返し終えて分かったことがある。返済は、稼げる場所にいる人間には作業で、稼げない場所にいる人間には足かせになる。いろいろな働き方がある時代だが、奨学金を背負うなら、安定して稼げる場所に就職するのが一番ラクだ。
【奨学金600万を5年で完済した話】固定費を削るだけで返済は加速する

奨学金を3つの資本で採点する

奨学金を借りてまで大学に行くべきか。俺は『幸福の資本論』(橘玲)の「3つの資本」で答え合わせをしてみた。

『幸福の資本論』の3つの資本
人的資本
働いて稼ぐ力
金融資本
お金や資産
社会資本
友達や家族などのつながり

この3つで大学4年間を採点すると、結構面白いことが分かった。対象者は俺だけだけど。

【人的資本】卒業後に稼ぐ力はつくか

まずは人的資本、稼ぐ力の話。結論、俺の場合は「ついたが、運の要素がデカい」ということ。国公立で学費が安く済み、就職はそれなりの大手に滑り込めた。大学時代に打ち込んだことがあったのも効いたかもしれない。

国公立と安定就職に救われた

ボーナスは出る。福利厚生もいい。収入は同世代より確実に良くなった。奨学金を返す身としては、この安定に救われた。

言っておくが、大企業の仕事は楽しくない。マニュアルとルーティンワークの塊で、やりがいなんて無い。金が貰えるからやるだけ。それでも、毎月決まった額が入ってくることが、返済にはとにかく効いた。

ただ、正直に言うと、今の会社には高卒で入社している人もいる。だから「大学に行ったから入れた会社」とは思っていない。大学で学んだ内容が今の仕事に直結しているわけでもない。

稼ぐ力だけで借金を回収できたかと言われると、答えは「微妙」だ。

正社員になれるかが分かれ目

残念なデータがある。

返せている人の7割は正社員
延滞している人の職業内訳
40.8%
27.8%
16%

延滞していない人の職業内訳
73.7%
その他

正社員(延滞側)
正社員(無延滞側)
非正規
無職・休職
自営・その他

出典:日本学生支援機構「令和5年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」(令和7年7月公表)

延滞している人のうち、正社員は4割しかいない。残り6割は非正規や無職。逆に、延滞せず返せている人は7割超が正社員だ。

働き方が多様な時代なのは分かる。それでも、収入が不安定なほど延滞に近づくことは数字が示している。奨学金を借りるなら、大学で遊ぶのはほどほどにして、卒業時に正社員の椅子を取りに行くべきだ。
【データあり】奨学金を延滞しやすい人の傾向は「親任せ」

年収300万が延滞の境目

延滞者の7割弱は年収300万以下
延滞している人のうち年収300万円以下の割合
67.2%

延滞していない人のうち年収300万円以下の割合
38.6%

※延滞者・無延滞者それぞれのグループ内での割合
出典:日本学生支援機構「令和5年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」(令和7年7月公表)

延滞している人の67.2%が年収300万以下。順調に返している人では38.6%。延滞理由の1位も「本人の低所得」で64.5%だ。

この数字を見て、考え方が変わった。「頑張れば返せる」ではない。「返せない人は普通にいる」だ。

延滞の理由、ダントツ1位は「低所得」
本人の低所得
64.5%

奨学金の延滞額の増加
32.6%

※延滞が続いている理由(複数回答)の上位。
出典:日本学生支援機構「令和5年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」(令和7年7月公表)

目指す年収はいくらか、という問いへの答えは300万以上。月給だと手取り20万が最低ライン。奨学金を借りた人間は、ここを死守する前提で就活してほしい。

逆に言えば、奨学金さえなければ年収200万でもなんとかなる。借りた瞬間、生きるための最低ラインが100万上がる。やっぱり奨学金なんて、ないほうがいい。

【金融資本】奨学金を借りれば圧倒的マイナス

次は金融資本、つまり貯金や資産の話。ここだけで見れば、大学に行くのは圧倒的悪手だ。

学費と生活費で金は出ていく。その4年間、働いていれば貰えたはずの給料は入ってこない。そして奨学金を借りれば、社会人をマイナスからスタートすることになる。出ていく、入ってこない、マイナスから始まる。金融資本にとって三重苦だ。

借り方でさらに差がつく。俺の上司は「不安だから多めに借りた。使わなかった分も、利子をつけて俺が返してるよ」と笑っていた。使わない金に利子を払う。金融資本の視点では最悪の一手だ。借りるなら必要な額だけにしてほしい。

5000万差は投資で消える

冒頭で出した「大卒は生涯5,000万多い」を思い出してほしい。あの数字、実は投資で消える。

高卒は大卒より4年早く働き始める。この4年を実家で過ごし、月12.5万円をオルカンなどのインデックスファンドに積み立てたとする。積立はその4年だけ。あとは65歳まで放置。年利5%で回った場合、65歳時点で約5,000万円になる計算だ(あくまで試算。相場次第で結果は変わる)。

積立は最初の4年だけ。あとは複利が働く
1,000万 2,000万 3,000万 4,000万 5,000万 19歳 23歳 30歳 40歳 50歳 60歳 65歳 65歳:約5,100万 積立4年 ● 23歳で積立終了(約660万)→ 以降1円も足していない

※月12.5万円を19〜22歳の4年間積立(総額600万円)、以降追加なし。年利5%で運用できた場合の試算。相場により結果は変動する。税・手数料は考慮しない。

月12.5万は高いハードルに見える。だが実家暮らしなら手取り17万から家に3万入れても12万残る。ボーナスを足せば届く数字だ。

大卒が奨学金をせっせと返しているその横で、高卒は時間を味方につけて複利で増やす。借金ゼロで、生涯賃金の差も埋まる。金融資本で見れば、これが現実だ。

もっとも、これが現実的かと言われれば違う。18歳が手取りのほぼ全部を投資に回し、遊びも我慢して4年間積み立て続ける。そんな胆力があるやつはまずいない。俺だって無理だった。そもそも18歳で複利の価値を知っていたら苦労しない。
奨学金返済中に投資はアリか?返済優先派の俺が投資を続けた理由

ただ、ここで気づいてほしい。月12.5万の積立は「無理」なのに、総額数百万の借金は18歳が「何も考えず」できてしまう。投資より借金のほうが、はるかに簡単に始められる。これが奨学金の怖いところだ。

金融資本だけで採点するなら、俺は大学には行かない。借金、4年間の機会費用、複利を失った時間。この3つは金融資本にとって致命傷だった。

【社会資本】それでも奨学金で得たものがある

人的資本は運頼み、金融資本は悪手。それでも、大学に行ったからこそ得たものがある。人だ。

同じような境遇で、価値観の近い友人と4年間つるめる。これは金に換算できない体験だった。卒業して何年経っても、結婚式に呼び合う仲。

金は溶けたが友は残る

金の使い方は荒かった。それでも、サークルに突っ込んだ金だけは後悔していない。

大学時代の思い出は、いくら擦っても色褪せない。人生は思い出残しゲームだ。仕事だけの人生なら交友関係は職場で固定される。その前に、利害のない人間関係を大量に作れたのは大きかった。

先輩の数も増える。高校の先輩に加えて大学の先輩ができると、社会に出てから単純に可愛がってもらいやすい。同じ学校というだけで人は親近感を持つものだ。

断っておくが、高卒に出会いがないという話ではない。結局は本人次第だ。ただ、大学のほうが自然に出会いやすい環境ではあった。

最大のリターンは妻

俺の周りは、大学のサークルで付き合ってそのまま入籍したパターンが多い。我が家ももちろんそれだ。

なんだかんだ結婚生活は楽しい。価値観が近い相手と暮らせるのは、大学で得たものの中で一番デカい。
【結論:できる】奨学金があると結婚できない?残したまま結婚した俺が答える

そして気づけば、社会資本(妻)が2人分の人的資本(共働きの稼ぎ)になり、金融資本(4桁万円の資産)を生んでいる。奨学金で始まった夫婦が、である。3つの資本は、こうやって繋がっていた。

人間関係は、大学以外でも作れたかもしれない。それは認める。ただ、少なくとも俺はここで得た。金融資本では大赤字だった。それでも、社会資本だけは借金では買えない価値だった。

奨学金を借りるならよく考えろ

人的資本、金融資本、社会資本。3つの資本で「奨学金を借りてまで大学に行くべきか」を採点してきた。

俺の答え合わせはこうだ。

俺の大学4年間を3つの資本で採点
人的資本
50点
「大学じゃなきゃ得られなかった」とは思えない
金融資本
-100点
借金と機会費用。ここだけ見れば完全に失敗
社会資本
90点
人との出会いだけは、行って本当に良かったと思える

人的資本50点、金融資本-100点、社会資本90点。それが俺の大学4年間だった。

勘違いしないでほしいが、大学に行ったこと自体は後悔していない。思い出も、友人も、妻も、大学がくれたものだ。高校生に戻っても同じ大学を目指す。

ただ、それと「借金してまで行くべきか」は別の問題だ。

だから俺の結論は「大学へ行くな」じゃない。金融資本で大きなマイナスを背負うと理解したうえで、それでも人的資本と社会資本に賭ける価値があるか考えろ、だ。

俺は国公立で借入を抑えられ、安定した就職先に滑り込めた。だから5年で返し切れた。ただ、この結果に再現性は無い。誰でもこうなるとは思わないでほしい。

奨学金がなければ、年収200万でも生きていける。借りた瞬間、年収300万がノルマになる。返済に詰まった人の7割は年収300万以下 ── この数字の側に入らない自信があるか。

借りた瞬間、最低ラインが100万上がる
奨学金なし:生きていける年収ライン
200万円

奨学金あり:返済が回る年収ライン
300万円(手取り月20万)

※延滞者の67.2%が年収300万円以下というJASSOデータをもとにした本ブログの目安。

それでも借りるなら、覚えておいてほしい。

借りる前に、その進路で正社員になれるか調べろ。給付型を先に探せ。借りるなら必要な額だけにしろ。そして借りたなら、目指すのは年収300万以上の正社員だ。

何も考えずに借りた俺が、全額返してたどり着いた結論だ。奨学金なんて、借りないほうがいい。

それでも借りるなら、よく考えてから借りよう。「まわりが借りてるから」「なんとなく不安だから」は通じない。借金の理由になっていないからだ。返すのは親でも友達でもない、君だ。

俺はもう一度18歳に戻っても、たぶん借りる。ただ、借りる前にもっと真剣に考える。

コメント