子どもの学費は、国公立に自宅から通って約500万。私立で下宿なら1,200万コース。日本政策金融公庫の調査が出してる数字だ。どっちになるかは18年後の子どもが決める。親に決められるのは、いくら用意しておくかだ。
俺の親が学資保険に入っていたかどうか、正直覚えてない。入ってなかった気がするし、入ってたのを仕送りに回してたのかもしれない。分かってるのは、俺と妻に600万の奨学金があったという事実。
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だから子どもの学費は本気で準備する。ただ、学資保険は最初から候補に入らなかった。足りない上に、増えないからだ。
じゃあ何で貯めるか。結論から言うと、児童手当と現金、余力があればNISA。
学資保険に入らない方がいい理由

子どもの学費を調べて分かったのは、学資保険は学費を用意する道具として設計されてないということ。まず足りない。大学入学の1年目にかかる費用は平均231万。満期金200万は、入学初年度で消える。
そのうえ増えない。途中でやめれば減る。持ちきっても物価で目減りする。
利回りは4社とも年利1%前後
主要4社の見積もりを実際に取って、年利に換算してみた。
| 会社 | 払い方 | 返戻率 | 実質年利 |
|---|---|---|---|
| 明治安田 | 一括217万 | 129.2% | 1.32% |
| ソニー生命 | 10歳まで | 114.7% | 1.11% |
| ニッセイ | 18年 | 105.7% | 0.52% |
| かんぽ | 18年 | 101.8% | 0.19% |
※各社公式シミュレーション・公表例(2026年時点)から算出。明治安田は25歳契約・一括払込のベストケース例
見かけの返戻率と、実質年利
※バーの長さは各項目内での相対比較
返戻率129%と102%。年利に直すと1.3%と0.2%。全部誤差だ。
しかも年利の順位をよく見てほしい。一括払いの明治安田が1位、10歳払込のソニーが2位、18年払いのニッセイとかんぽが下位。返戻率が高い商品とは、金を早く保険会社に渡す商品というだけ。商品の優劣じゃない。
一番下のかんぽを開けると、もっとひどいものが出てくる。月22,750円を18年間、総額491万払って、増えるのは8万6千円。月に直すと400円弱。そこに医療特約840円を付けた瞬間、受取は払込の96%に落ちて元本割れが確定する。
どの会社を選ぶかで悩む必要はない。どれを選んでも答えは変わらない。
途中解約で元本割れ
しかも途中で解約したら、ほぼ確実に元本割れする。NISAの元本割れは「かもしれない」だが、学資保険の中途解約は「ほぼ確実」だ。
怖いのは、学資保険が奨学金にすり替わっていく流れだ。
学資保険が奨学金に変わるまで
学費のために入った保険が、子どもの借金で終わる。しかも保険料は戻ってこない。STEP1で払い始めた金は減ったまま、ゴールで新しく借金が増える。
業界は「途中解約すると元本割れします」と繰り返し注意喚起している。注意喚起が必要なくらい、起きているということだ。だが何割の人が途中でやめているのか、その数字はどこにも公表されていない。
インフレと税金に弱い
おにぎりの値段は、2020年からの5年で約1.4倍になった。全国平均で119円から166円だ。100円玉ひとつで買えた時代は、完全に終わっている。同じ金で買えるものが減った。これがインフレ。
学資保険はこれに対応できない。18歳で200万受け取る契約を、0歳の時点で固定するからだ。
「国立なら授業料は据え置きだし大丈夫」と思うかもしれない。すでに崩れてる。
東大も東工大も一橋も、個別に値上げした。標準額の1.2倍まで上げていい仕組みが用意されていて、埼玉大も検討中だ。私立も授業料を上げている。
学費は上がる。学資保険の200万は上がらない。
18年後の授業料がいくらかは誰にも分からない。分かってるのは、値上げの余地が制度に組み込まれてることだけ。おにぎりが1.4倍になった時代に、増えない金を18年ロックする。それが学資保険だ。
満期金には税金がかかる、という話をよく聞く。一時所得だから、増えた分が50万を超えれば課税される。だが学資保険で50万も増えることはまずない。ソニーの例で26万、かんぽで8万6千円。税金の心配をする必要すらない。それくらい増えない。
学資保険の安心料は134万

「それでも投資は怖い。減るのが怖い」ってのは分かる。じゃあ値札を見てから決めよう。学資保険で安心を買うと、いくら払うことになるのか。
投資とヨーイドンで差134万
ソニー生命の見積もりと同じ条件でヨーイドンさせる。子どもが5歳のときに始めて、月29,040円を10歳まで払う。合計174万。片方は学資保険、片方は年5%の投資。子どもが22歳になった時点でこうなる。
同じ174万を払った、22年後
赤い部分が「安心料」。保険を選ぶと、ここが消える
※子5歳加入・月29,040円×60回。22歳時点で比較。保険の受取金(18〜22歳の40万×5回)も受取後は同率で運用したと仮定。5%は全世界株の長期実績から置いた仮定
この134万が安心料。134万円を保険会社に払って「数字が減らない安心」を買っている。
「5%は強気すぎる」と思うなら3%で見ればいい。同じ条件で差は約56万。どっちに転んでも、安心はタダじゃない。
高いと思うか、安いと思うかは自由。134万払って安心したいなら、それも一つの選択。ただ、134万というコストが乗っていることは知っておいた方がいい。
減り方が見えないだけ
「でも投資は減るじゃん」——その「減る」の正体は、証券口座の数字が赤くなること。学資保険はそれが見えない。
実際には3か所で減っている。途中で解約すれば確実に減る。満期まで持っても、おにぎりが1.4倍になった世界では200万の価値が減っている。そもそも返戻率114.7%の「増えた分」は、保障コストを引かれた残りだ。
学資保険はリスクを消していない。臭いものに蓋をしただけだ。蓋の中身は、年利1%で18年。数字が赤くならない代わりに、増えもしない。それを安心と呼ぶかどうかの話だ。
同じ安心は現金ならタダ
それでも数字が減るのを見たくないなら、現金でいい。
児童手当を別口座に移すだけでいい。元本割れしない。いつでも引き出せる。手数料もゼロ。学資保険が持ってない機能を全部持ってて、タダで使える。
134万払って買った安心と、中身は同じだ。現金なら0円で手に入る。「減るのが怖い」の正解は保険じゃなく現金。保険会社を経由する理由が、どこにもない。
学資保険のメリットは全部つぶせる

保険会社が挙げる学資保険のメリットは決まって5つ。払込免除、強制的に貯まる、預金より増える、生命保険料控除、受取時期を設計できる。ってことなんだけど、どれも対処可能なんだよな。
死んだ時こそ学資保険は負ける
「契約者が死んだら以降の保険料は免除。それでも満額受け取れる」——学資保険の最大の売り文句だ。旦那が死んだら払わなくていい。だから安心ってこと。
免除されるものを正確に言うと、残りの保険料だけだ。ソニーの例なら最大でも約174万。子どもが受け取るのは200万で変わらない。
同じ月額を、オルカン27,840円+収入保障保険1,200円に分けたらどうなるか。FWDの収入保障なら、月1,200円で月10万円の保障が買える。加入3年後、子どもが8歳のときに死んだとして比べる。
子どもが8歳のとき、親が死んだら
※どちらも月約29,000円。収入保障は月10万×残り14年で計算
10倍近い差。学資保険が一番必要な場面で、一番負ける。
死ななかった場合はどうか。30代男性が5年間生きる確率は99.7%。この場合もオルカン側は18歳時点で226〜277万、学資保険は200万。保険料の7万を払っても勝つ。
つまり、死んでも負ける、生きても負ける。
払込免除の正体を数字で言うと、30代男性が払込期間中に死ぬ確率から逆算して、保険としての価値は5年で約2,600円。月43円分の死亡保険だ。月43円の保障を「唯一無二のメリット」と呼んで、年利1%の商品を売る。それが学資保険の営業トークの構造だ。
ちなみに俺が保障を選ぶとき、学資保険は候補にすら浮かばなかった。保障が欲しいなら、保障だけ買えば済むから。
節税は年1万円で終わり
「生命保険料控除で節税になる」も定番の売り文句。実額を計算する。
一般生命保険料控除の上限は所得税4万・住民税2.8万。年収500万前後の税率で計算すると、戻ってくるのは年7,000円ほどだ。2026年と2027年は23歳未満の子がいる世帯だけ枠が広がる時限措置があるが、それを使っても年9,000円弱。
年7,000円のために、月2〜3万を18年ロックする。割に合うかどうかは、もう言わなくても分かるはず。
しかも掛け捨ての生命保険に入っていれば、同じ控除枠はそっちで埋まる。学資保険で「追加の節税」が生まれるとは限らない。
強制力は自動積立で作れる
「強制的に貯まるから続く」——これが最後のメリット。だが強制力は保険会社の専売特許じゃない。
児童手当が入る口座から、積立用口座へ自動振替を設定する。作業は5分、手数料は無料。これで学資保険と同じ「勝手に貯まる仕組み」が完成する。
違いは一つ。保険の強制力には途中でやめたら元本割れという罰金が付いてる。自動積立の強制力はタダで、いつでも見直せる。
強制力に月数千円の手数料を払う理由はない。振替設定は無料で5分だ。
貯金苦手こそ学資保険は危険

「貯金が苦手な人にこそ学資保険」——これも定番の売り文句だ。逆だと思う。貯金が苦手な家計こそ、学資保険で一番損をする。
苦しい家計ほど途中解約する
貯金ができない理由は、収入に対して固定費が重いからだ。そこに月2〜3万の保険料を乗せる。固定費はさらに重くなる。
生活が苦しくなった時、先々の学費と今の生活のどっちを守るか。今に決まってる。そして解約した瞬間、元本割れが確定する。さっきの地獄のループの入り口が、まさにここ。
「強制力があるから貯まる」は、最後まで払えた人の話だ。払えなかった人は、貯金が苦手なまま金を減らして終わる。一番損する客に一番刺さる売り文句。それが「貯金苦手な人におすすめ」の正体だ。
安心してるのは親だけ
学資保険に入ってる親は、たぶん「子どもの学費を貯められてる俺すごい」と思ってる。
毎月ちゃんと払って、子どもの将来に備えてる。良い親だと思う。俺も本気でそう思う。
ただ、方向性が間違ってる。年利1%で18年、途中でやめたら元本割れの商品に金を運んで、それで学費の準備が「できてる」ことになってる。満期の200万は入学初年度で消える。安心してるのは親だけで、金は足りてない。
安心してるのは親で、金は足りてない。見るべきなのは、入ってる自分じゃなく、いくら貯まるかだ。
学資保険の代わりに貯める方法

じゃあ何で貯めるか。順番はこうだ。児童手当、掛け捨て、余力があればNISA。上から順に、家計が苦しくてもできる順になってる。
児童手当だけで234万
児童手当は高校生年代まで延びた。3歳まで月1.5万、そこから高校卒業まで月1万。全部貯めるだけで約234万になる。
児童手当だけで貯まる額
月1.5万×36回
月1万×180回
合計 約234万 / 学資保険の満期金200万を、保険料0円で超える
新しく捻出する金はゼロ。もう貰ってる金を、使わずに移すだけ。
保障は月1,200円で足りる
「俺が死んだら学費どうなる」が心配なら、保障を買えばいい。FWDの収入保障保険なら、月1,200円で月10万円の保障が買える。子どもが8歳のときに死ねば、残り14年で1,680万が入る。
学資保険の払込免除は月43円分の保障だった。同じ心配に対して、月1,200円は1,680万で応える。
収入保障は死ぬのが遅いほど受取総額が減る。子どもが20歳なら240万だ。だがそれでいい。その頃には学費のヤマは越えている。必要な時期に手厚く、要らなくなったら薄くなる。学資保険の「18年間ずっと200万」とは設計思想が逆だ。
保障と貯蓄を分ける。混ぜて売るのが保険会社の商売で、分けて買うのが客の防御だ。
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怖ければ投資しなくていい
投資が怖いなら、しなくていい。児童手当234万に月1万の積立を足せば、現金だけで18年450万。国公立・自宅通学の500万にほぼ届く。学資保険より貯まって、元本割れもない。
ただし私立理系や下宿まで出すつもりなら、現金では届かない。1,200万コースだからだ。
だから先に決めるのは、どこまで出すかだ。国公立の分は現金で確保して、その先を狙うなら余力をNISAに回す。俺はオルカンを積んでる。決めずに保険屋に丸投げするのが、一番高くつく。
入学5年前から現金に寄せる
NISAで準備するなら、出口だけは決めておく。教育費は使う日が決まってる金だ。18歳の春は、相場の都合を待ってくれない。
リーマンショックの時、世界株式は最大で約6割下落した。元の水準に戻るまで約6年かかっている。入学直前にこれが来たら詰む。
だから中学に上がる頃には、増やすフェーズを終えて現金に寄せていく。目安は入学5年前。そこから先の学費は、もう相場に賭けない。
教育費の判断を他人に任せるな

最後に、この記事で一番言いたいことを書く。学資保険そのものより大事な話だ。
勧めてくる人は友達じゃない
俺は保険屋のおばちゃんに学資保険を勧められたことがある。断った。
入ってたら月2〜3万の固定費が18年続いてた。途中で解約したら、あの関係も終わってた。逆に言えば、解約で終わる関係なら、最初から友達じゃなくて金づるだったってことだ。
無料の保険相談も構造は同じ。FPは保険を売った手数料で食ってる。「学資保険どうしよう」と相談に行けば、学資保険を売りたい人が答えてくれる。タダより高い相談はない。
決めない奴が一番高くつく
他人に金の判断を頼むと、頼んだ分だけ高くつく。保険屋に任せれば保険料で、FPに任せれば手数料で、決めずに放置すれば18年後に奨学金で払うことになる。
教育費で決めることは3つだ。どこまで出すか。何で貯めるか。いつ現金に寄せるか。
この記事は数字を全部見せた。ここから先は、この記事も含めて疑って、自分で決めろ。
まとめ:学資保険は入らない方がいい

学資保険はいらない。保障は掛け捨て、学費はまず児童手当と現金、余力があればNISA。分けるだけで、同じ安心がもっと安く手に入る。
やることは4つ。
- 児童手当を別口座に移す(約234万)
- 保障が心配なら収入保障保険(月1,200円前後)
- 余力ができたらNISA
- 入学5年前から現金に寄せる
保険会社に払うはずだった134万は、そのまま子どもの学費に残る。
この記事で使ったデータの出典
- 日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」 — 教育費の総額・入学初年度の費用
- 総務省統計局「消費者物価指数」「小売物価統計調査」 — おにぎりの価格推移
- 文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果」 — 私立大の授業料・入学料
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表」 — 払込免除の期待値・生存率
- 国税庁「No.1140 生命保険料控除」 — 節税額
- 国税庁「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」 — 一時所得
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」 — 児童手当234万
- 各社公式シミュレーション・公表例 — 返戻率・保険料(ソニー生命/日本生命/明治安田生命/かんぽ生命/FWD生命、2026年時点に取得)
実質年利(IRR)と運用シミュレーションは、上記の実際の見積もり額をもとに筆者が計算した。運用利回り5%は全世界株の長期実績から置いた仮定であり、将来の利回りを保証するものではない。



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