【礼金ゼロに成功】賃貸の初期費用をLINEで相談して約11万円減らした

固定費削減

住みたい部屋が決まって、見積もりを開いた瞬間に手が止まる。家賃の5倍近い数字が並んでいる。ここまでするつもりはなかった、というのが正直なところだと思う。春から働く人なら、その半年後には奨学金の返済も始まる。初期費用で貯金を使い切ると、社会人1年目の秋から、毎月の引き落としと家賃が同時にのしかかる。

俺はこれまで3回引っ越して、3回とも賃貸の契約をしてきた。そのうち自分から交渉したのは3回目だけだ。夫婦で借りた奨学金約600万円も、こうやって出ていくお金を1つずつ削りながら5年で返し終えた。3回目の契約では、約46万円の見積もりに対してLINEで相談し、礼金と消毒施工費の約11万円が消えた。この記事では、実際に送った交渉文面と、不動産屋から返ってきた提案を載せる。

読めば、自分の見積もりのどこが削れるかが分かる。文面はコピペで使えるので、送るのにかかる時間は5分もない。初期費用が高すぎると感じたら、物件を変える前にLINEを1通送ってほしい。見積もりの項目は、相談しだいで変わることがある。

賃貸の初期費用は家賃4.8ヶ月分

まずは、俺が実際に受け取った見積もりから見ていく。

見積もりの内訳はこの6項目

3回目の部屋探しで受け取った見積もりが下の表だ。敷金・礼金・仲介手数料・保証料・消毒施工、そこに初月分の家賃が乗って、合計は家賃の約4.8ヶ月分になった。

3回目の部屋探しで受け取った見積もり
項目 金額(税込)
敷金 家賃1ヶ月分
礼金 家賃1ヶ月分
仲介手数料 家賃1.1ヶ月分
保証委託料 家賃の約半月分
消毒施工 16,500円
初月の家賃・月額費用 家賃1ヶ月分+3,658円
合計 約46万円(家賃の約4.8ヶ月分)

出典:筆者が受け取った見積書をもとに作成

1回目と2回目の部屋探しは、ここまで高くならなかった。1回目は閑散期で最初から条件が安く、2回目は大家さんが細かい費用を気にしない人だった。どちらも運で安くなっただけで、自分では何もしていない。

見積書に隠れた月額費用

見積書で見落としやすいのが「月額費用」の欄だ。俺の見積もりには、家賃とは別に24時間サポートが月2,200円、月額保証料が月1,458円入っていた。

家賃とは別にかかるお金(2年契約の場合)
項目 月額 2年分
24時間サポート 2,200円 52,800円
月額保証料 1,458円 34,992円
更新事務手数料(更新する場合) 22,000円
月額の合計 3,658円 87,792円

出典:筆者が受け取った見積書をもとに作成

この2つだけで2年間に87,792円かかる。さらに更新するなら、更新事務手数料が22,000円が別に必要になる。初期費用だけでなく、毎月の欄まで確認しないと本当の負担は見えてこない。

初期費用を削るLINE交渉

ここからは、実際に送った文面と、それが通った理由を書いていく。

決め手は「今日申し込みます」

交渉の大前提は、相手にもメリットを見せることだ。「安くしてくれたら考えます」では、相手が動く理由がない。不動産屋や大家が値下げに動く理由は3つある。

1つ目は仲介手数料で、これは契約が成立して初めて入るお金だ。決まらなければ、内見に付き合った時間はタダ働きになる。

2つ目は空室リスクで、これは大家さん側の事情。2023年時点で賃貸用の空き家は全国に444万戸あり、断られた部屋がすぐ埋まる保証はない。

3つ目は時期だ。下のグラフは、2025年に市区町村をまたいで引っ越した人の数を月ごとに並べたものになる。

引っ越した人の数は3月に集中する(2025年・市区町村間移動者数)
0万20万40万60万80万100万12391万456740万89101131万12緑:3月(繁忙期)と7月(筆者が交渉した月)

出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」月次結果をもとに作成。10月は年計から他の11か月を差し引いて算出。

3月の91万人に対して、一番少ない11月は31万人しかいない。約2.9倍の差だ。俺が交渉した7月も40万人で、春の半分以下になる。この時期の不動産屋は、次の客がいつ来るか読めない。だから「今日申し込みます」の一言が効く。

相手にとっては、手数料が確定して、空室が埋まって、しかも次の客を待たずに済む提案になるからだ。俺はLINEの冒頭と最後の2回、この一言を入れた。

繁忙期の交渉は分が悪い

逆に言うと、3月の交渉はかなり難しい。同じ部屋を見たい人が他にもいる時期なので、不動産屋は強気に出られる。「この条件で構わないという方が他にいます」と言われたら、そこで終わりだ。

交渉自体はしてみていい。お願いの形で送れば関係はこじれないし、通れば10万円単位で得をする。ただし、人気の部屋なら交渉している間に他の人の申し込みが入ることもある。断られたときにどうするかは、先に決めておかなければならない。

どうしてもこの部屋がいいなら、言い値を払う価値はある。そこそこの気持ちなら、強気で交渉して、ダメなら次の物件を見ればいい。その部屋にどれだけ住みたいかで決めよう。

最強の手段は記録が残るLINE

対面の交渉は、担当者を前にするとどうしても言い出しにくい。電話は記録が残らず、「そんな話はしていない」と言われたら終わりだ。メールは返信が遅れやすい。

そこでオススメなのがLINEでのやり取りだ。

交渉の手段ごとの違い
手段 記録 返信の速さ 言い出しやすさ
LINE 残る 速い 言いやすい
メール 残る 遅くなることがある 言いやすい
電話 残らない その場 言いにくい
対面 残らない その場 言いにくい

LINEなら担当者にすぐ通知が届き、やりとりが全部残る。文面をAIに下書きさせて、丁寧な言い回しに整えてから送れるのも大きい。俺も実際にAIで作った文面を貼って送った。強調記号の「**」が残ったままだったが、それでも交渉は通った。

コピペで送れる交渉文面

実際に送った文面を、数字を入れ替えるだけで使える形にした。〇〇の部分を自分の見積書に合わせて書き換えてほしい。

コピペ用:初期費用の交渉文面

こちらの物件、間取りや立地がとても気に入っており、
条件が整えば本日中に申し込みさせていただきたいと考えております。

以下2点について、ご相談させていただけますでしょうか。

①仲介手数料について
「家賃そのままで仲介手数料0.55ヶ月分」または
「家賃を月〇〇円下げていただき、仲介手数料は1ヶ月分」
のいずれかでご対応いただくことは可能でしょうか?

②〇〇費用(〇〇円)と〇〇サポート(月額〇〇円)について
契約上必須でなければ、外して進めさせていただけると嬉しいです。

いずれもご対応いただけるようでしたら、本日中に申し込みをさせていただきます。
お手数おかけしますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

この文面のポイントは2つ。1つ目は、仲介手数料を二択にして相手に選ばせていること。2つ目は、「契約上必須でなければ」と相手に断る余地を残していること。お願いの形にしておくと、断られたときも角が立ちにくい。

初期費用で削れる項目はどれか

見積もりの項目は、削れるものと削れないものにはっきり分かれる。

一言で外れた消毒施工

消毒施工の16,500円は、「契約上必須でなければ外したい」と送っただけで外れた。担当者からは「外してしまっても良いとのことなので、16,500円値引きします」という返事が来た。

入居前に何をどこまでやるのか、借りる側には中身が見えにくい費用になる。害虫が気になるなら、入居後に市販のくん煙剤を使うという手もある。

仲介手数料は0.5ヶ月が原則

仲介手数料は、法律にもとづく国土交通省の告示で上限が決まっている。居住用の部屋を借りる場合、事前に承諾していない限り、不動産屋が借主から受け取れるのは家賃の0.55ヶ月分(税込)までだ。

借主が払う仲介手数料の上限(居住用の賃貸)
借主の承諾 上限(税込)
承諾していない(原則) 家賃0.55ヶ月分
依頼の時点で承諾している 家賃1.1ヶ月分

出典:国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」

見積もりに1.1ヶ月分と書いてあるのは、借主が承諾している前提の金額になる。逆に言うと、依頼した時点で承諾したことになっているかどうかで上限が変わる。自分がいつ何に承諾したのかは、書面で確認しておきたい。

家賃の代わりに礼金ゼロ

LINEを送った約1時間半後、担当者から「家賃の件はオーナーに交渉している」と一次回答が来た。さらに2時間ほど後に届いたのが、「家賃ではなく礼金を0にする方向で話をしてもいいか」という提案だった。

こちらが出した二択は、手数料半額か家賃5,000円引き。返ってきたのは、どちらでもない礼金ゼロだった。仲介手数料は不動産屋の収入で、礼金は大家さんの収入になる。

こちらの提案と、返ってきた提案
削れる額 誰の取り分が減るか
仲介手数料を0.55ヶ月分に 家賃約0.55ヶ月分 不動産屋
家賃を月5,000円引き 2年で12万円 大家さん
礼金ゼロ(返ってきた案) 家賃1ヶ月分 大家さん

出典:筆者と不動産会社のLINEのやりとりをもとに作成

こちらの希望をそのまま通すのではなく、担当者の側から別の案が出てきた形になる。二択で投げたことで、話が止まらずに済んだのだと思う。

外せない火災保険込みサポート

月2,200円のサポートは、「火災保険を兼ねているので必須」と断られた。契約の条件になっているサービスは、交渉の段階で外すのが難しい。

物件によっては、自分で火災保険に入り直して解約できる場合もある。前に住んでいた部屋では、電話1本で解約して月2,200円が浮いた。ただ、契約書にどう書かれているかで結論は変わる。

初期費用の削減額は約11万円

交渉の結果、どこがいくら減ったのかを数字で並べる。

消えたのは礼金と消毒施工

交渉の結果、礼金と消毒施工の16,500円が消えた。この2項目だけで約11万円になる。ほかの項目が見積もりのままなら、初期費用の合計は約46万円から約35万円になる計算だ。

交渉で消えた2項目(家賃の何ヶ月分か)
交渉前約46万円・4.8ヶ月交渉後約35万円・3.7ヶ月−11万緑:消えた礼金と消毒施工

出典:筆者が受け取った見積書をもとに作成。交渉後の合計は、ほかの項目が変わらない場合の試算。

交渉前後の見積もり
項目 交渉前 交渉後
敷金 家賃1ヶ月分 家賃1ヶ月分
礼金 家賃1ヶ月分 0円
仲介手数料 家賃1.1ヶ月分 家賃1.1ヶ月分
保証委託料 家賃の約半月分 家賃の約半月分
消毒施工 16,500円 0円
初月の家賃・月額費用 家賃1ヶ月分+3,658円 家賃1ヶ月分+3,658円
合計 約46万円 約35万円(試算)

出典:筆者が受け取った見積書をもとに作成。交渉後の合計は、ほかの項目が変わらない場合の試算。

相談から提案まで4時間

LINEを送ったのが12時36分、礼金ゼロの提案が届いたのが16時26分。その5分後に「その方向でお願いします」と返した。

待ち時間を含めた約4時間で約11万円が消えたので、時給に直すと約2万7,000円の仕事になる。しかも大半は返事を待っていただけで、文面を考えて送るのにかかったのは10分ほどだ。

LINEで相談した当日の流れ
12:36

交渉のLINEを送る

二択の提案と、消毒・サポートを外す相談

14:08

一次回答が届く

家賃はオーナーに交渉中、サポートは火災保険のため必須

16:26

礼金ゼロの提案が届く

消毒施工16,500円も値引き

16:31

提案を受け入れる

礼金ゼロの方向で依頼

出典:筆者と不動産会社のLINEのやりとりをもとに作成

店に何度も足を運んだわけでも、長い電話をしたわけでもない。昼に1通送って、夕方には礼金ゼロの提案が届いた。

願わくは家賃を安くしてほしかった

こちらが最初に出したのは家賃5,000円引きの案で、返ってきたのは礼金ゼロだった。もし家賃引きのほうを選べたなら、どちらが得だったのか。答えは、その部屋に何年住むかで変わる。

家賃5,000円引きは、1年で6万円、2年で12万円になる。礼金が家賃1ヶ月分の場合、家賃5万円の部屋なら10ヶ月目、8万円なら16ヶ月目、10万円なら20ヶ月目で両者が並ぶ。その次の月から、家賃引きのほうが多く浮く。ほかの条件が同じ場合の計算だ。

家賃5,000円引きが礼金ゼロを追い越す月
0万2万4万6万8万10万12万0ヶ月6ヶ月12ヶ月18ヶ月24ヶ月家賃5万円の礼金家賃8万円の礼金家賃10万円の礼金10ヶ月16ヶ月20ヶ月家賃5,000円引きの累計礼金ゼロで浮く額

緑の線が点線と交わる月で両者が並び、その翌月から家賃引きが上回る。礼金は家賃1ヶ月分、ほかの条件は同じとして計算。

それでも、貯金が少ない新社会人なら礼金ゼロのほうが助かる。最初にまとまったお金が浮けば、家具や家電を買っても手元に現金が残るからだ。長く住む予定なら家賃引き、手元の現金を守りたいなら礼金ゼロで選べばいい。

浮いた11万円は返済7ヶ月分

奨学金の返済は、貸与が終わった翌月から数えて7ヶ月目に始まる。3月に卒業したなら、最初の引き落としは10月だ。毎月いくら返すかは、借りた額で変わる。JASSOが公開している返還例をもとに、浮いた約11万円が何ヶ月分にあたるかを計算した。

浮いた約11万円は返済の何ヶ月分か
借り方(4年間) 返還月額 約11万円で
第一種・国公立・自宅(月45,000円) 12,857円 約8ヶ月分
第一種・私立・自宅(月54,000円) 14,400円 約7ヶ月分
第二種・月50,000円(年利1%) 14,428円 約7ヶ月分
第二種・月30,000円(年利1%) 9,892円 約11ヶ月分

出典:日本学生支援機構「大学・返還例」をもとに算出

月1万4,000円台を返す人なら、約7ヶ月分になる。10月に返済が始まってから、翌年の春までの引き落としに相当する金額だ。これは読者向けの試算で、俺自身はこの部屋を借りた時点で奨学金を返し終えていた。それでも、返済中に同じ交渉をしていたらと考えると、効き方の大きさは想像がつく。

賃貸の初期費用は相談しだいで変わる

初期費用は、見積書どおりに払うものではない。俺の場合は申し込み前にLINEを1通送っただけで、礼金と消毒施工の約11万円が消えた。断られたのは家賃の減額と、契約の条件になっていたサポートの2つ。全部が通るわけではないが、送らなければゼロだった。

効いたのは、相手にもメリットのある形で聞いたことだと思う。「今日申し込みます」を先に伝えて、こちらから二択を出す。すると担当者は、こちらが出していない案を自分から持ってきた。交渉が通らない時期や物件もあるので、繁忙期を外せるならそこも効く。

こうして固定費を1本ずつ抜いていって、夫婦で借りた奨学金約600万円を5年で返し終えた。これから返済が始まる人ほど、部屋を借りる前の1通が効く。

出典:国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」/国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」/総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」/総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」/日本学生支援機構「貸与終了から返還開始までの流れ」「大学・返還例」

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